やさしい歌は世界を変える [テレビ]
MONGOL800(もんごる・はっぴゃく)
“モンパチ”の愛称で知られる、沖縄出身の3ピースバンドが今回の主人公です。
(『やさしい歌は世界を変える~MONGOL800 沖縄・奄美 トロピカルツアー'07~プレミアム10』 NHK総合)
その知名度の高さにも関わらず、驚くほどメディアへの露出が少ないMONGOL800。
そんな彼らの貴重な映像。
今年の夏に「トロピカル・ツアー」と名うって行われた沖縄・奄美の離島を巡るツアーの記録です。
ライヴ会場は空調設備のない体育館、ホテルの宴会場、定員110名の民謡酒場・・・etc.どこもふだんはロック・バンドのライヴが行われるような場所ではありません。発電機が壊れてマイクやアンプが使えなくなって、アコギ一本で歌うなんてハプニングも。
そんなツアーもMONGOL800だからできること。
立派なコンサート・ホールでは伝えることはできないメッセージ、きっと伝わったはず。
これからも彼らは沖縄の若者たち、いや日本中の若者たちの代弁者であり続けるのでしょう。
素敵な表情が詰まった、爽やかなスコールのような90分でした。
そして、9月29日。
集団自決をめぐる教科書検定意見の撤回を求めて11万もの人が集まったという沖縄県民大会。
その中にはMONGOL800の歌を愛する人もいたでしょう。
「やさしい歌は世界を変える」
そう、変えることだってできるはず。
やさしい歌、一人でも多くの人の心に届きますように。
言葉で平和を紡ぎたい [テレビ]
被爆者の平均年齢74歳。
日本人の平均寿命は80歳ほど。
残された時間は、そう多くない ―
女優の吉永小百合さん。
彼女がボランティアで20年以上続けている活動があります。
広島・長崎の原爆詩、そして沖縄の戦争童話の朗読活動です。(『吉永小百合 ・言葉で平和を紡ぎたい』 NHK)
平易な言葉で語られる戦争の悲惨さ。
言葉ひとつひとつを慈しむかのように語る吉永さんの姿は、吉永さんの平和を願う姿勢そのもの。
静かで、そして強い。
そんな吉永さんの朗読を聴いたかつての子どもたち。
その子どもたちが成長し、今度は自分自身が語り部となって次の世代へ平和の貴さを伝えてゆく ― そんなことが実現しているのです。
吉永さんが蒔いた平和への願いを込めた種。
その種が芽を出し、実をつけ、今また種を蒔こうとしている。
そんな現実を知って、冒頭の不安が少し軽くなった気がしました。
いつしか戦争体験者がいなくなる日が来たとしても、紡いでいく言葉の中で先人たちの思いは生き続ける。
そう、語り継ぐことを止めない限り。
言葉の持つ力を信じて。
心に響く歌 [テレビ]
a thousand winds
わずか12行の短い英語の詩。
19世紀半ばアメリカで生まれたという作者不明の、この詩にメロディがつけられ日本でも歌われています。
<千の風になって>です。
昨年のNHK紅白歌合戦で話題になり、オリコンでも第1位を獲得したほどの大ヒットとなりました。
この一見(一聴)地味とも思われる曲が、なぜそんなに大ヒットしたのか ―
今回 『クローズアップ現代』(NHK)を見て、その理由が分った気がしました。
この曲の歌詞には人の心を癒し、元気づける力があるのですね。
特に、かけがえのない大切な人を失った経験がある人にとっては。
番組で紹介されていた人々。
その中に交通事故で若いお父さんを亡くしたという三人の幼い姉妹がいました。
<千の風になって>を「お父さんの歌だ」と言う三人のまだ拙い歌声を聞いて、涙が流れるのを止めることができませんでした。
きっと、お父さんも一緒に歌っていてくれることでしょう。
作曲した新井満さんが「死者を死せりと思うな。生者生きる限り、死者は生きる」とおしゃってましたが、その通りですよね。
医学的に見れば、死は時間上のひとつの点にすぎないのだろうけど、そんなんじゃない。
人には大切な人を想う“心”があるんですから。
今、気になっているのはこちらの一枚です(琉球娘さんのブログで教えてもらいました)。
いつかこの曲に助けられる日が来るかもしれない ―
そんな日が一日でも遅く来ることを祈りつつも、少し心強くなれた気がした夜でした。
スドウゲンキという男 [テレビ]
須藤元気さん。
一風変わったファイティング・スタイルでファンを楽しませてくれた元格闘家です。
その須藤さんが主観をずらすと世界を見る視野が広がることから、普段からその訓練をしているという話をしていました。(『あっぱれ!! さんま大教授』 フジ)
ある日、回転寿司に入ったときにカッパ巻きの気分になってみたという須藤さん。
「カッパ巻きは完全にアウェーの勝負ですよね。海泳いだことないですよね」
フフ。
「そのとき、アインシュタインの言葉を思い出したんです。“蝶はモグラではない。しかし、それを残念がる蝶はいない”って」
ん!?
「そうだ、ありのままでいいんだ!キュウリはキュウリでよいというアイデンティティーを持つことによって回転寿司に乗ってても、決して引けをとらないんじゃないかなって」
・・・
こんな話を真顔でし続けた須藤元気という人物、いったいナニモノ!?
他にも恋愛について語っていらっしゃいましたが、完全に須藤元気ワールド。
さんまさんも裏声で笑い続け、勘弁してくれと初めて思ったと言っていました。
番組を見たあと見つけた須藤さんの日記。
かなりの Gentleman とお見受けしました(笑)。
須藤さんは見聞を広めるため、2年間ほど海外旅行に行かれるとか。
旅行記の大ヒット、間違いなしですね。
まずは手に入るこちらの本から読んでみようかな。
なんてったって、“風の谷のあの人”と結婚できちゃうかもしれないんですから♪
おでんくん [テレビ]
なんでも知ってるつもりでも、ほんとは知らないことがたくさんあるんだよ
リリー・フランキー PRESENTS おでんくん DVD-BOX 3
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2006/09/20
- メディア: DVD
リリー・フランキー PRESENTS 『おでんくん』です。(NHK教育 毎週金曜日18:20~)
自伝的小説『東京タワー』が大ヒットしたリリーさんですが、私にとってリリーさんといえば、やはり『おでんくん』。
おでんくん(餅巾着)が、たまごちゃん、だいこん先生、ジャガー・・・etc.といったおでん村の仲間たちと繰り広げるおでんファンタジーです。
食べられると、お腹の中ではなくて、その人の心の中に行くという発想がステキ。
おでんくんたちは、そこでいろいろなことを学ぶのです。
リリーさんのやさしい心が生んだ傑作癒し系アニメ。
おでんくんの頑張る姿に元気をもらい、だいこん先生の含蓄ある言葉に姿勢を正されること間違いなし!です。
おでんくんの声は、女優の本上まなみさん。
これが見事ハマっていて、本上さんの新境地です。
テーマ曲の『テキワナタイン』もどこか懐かしくて、つい口ずさんでしまうナンバーです。
絶望から希望へ [テレビ]
タイトルは、『のだめ カンタービレ』のLesson 8でブラームス交響曲第1番を指揮しているときの千秋の心のセリフです。
ブラームスの思いと千秋の思いが重なって、熱いものがこみ上げてきました。
やはり、ブラームスの交響曲第1番は名曲ですね。
そして、さらに感動的だったのは、のだめが千秋に催眠術をかけるシーン。
のだめと千秋の二人の優しさに、またまた涙。
千秋の飛行機恐怖症の原因は、単なる飛行機事故じゃなかったんですね。
バッハからバーバーへという流れも良かったですね。
そこで思い出したのが、このアルバム。
バッハからバーバーへという流れ、実はこのアルバムの曲順と同じなんですよね。
これって、偶然?
おいしいとこだけ(?)を集めたこのアルバム。
このテのものは、ちょっと反則のような気もしますが(笑)、祈りに満ちた一枚はこの時期にぴったりです。
さて、今夜のレッスンは、どんなかな。
“おなら体操”を拝むことはもうできないのか・・・気になるところです(笑)。
運命のニオウ糸? [テレビ]
目に飛び込んで来たのは、3人の女性が熱心に瓶に入れられたTシャツの匂いを嗅いでいる姿。
(『解体新ショウ』 NHK)
??
結果、女性がいい匂いと感じたのは、遺伝的に遠い男性のTシャツであることが判明。
つまり・・・
「女性は遺伝的に遠い男性を選ぶ傾向にある」
両親の遺伝子のタイプが違うほど、子どもの遺伝子は豊富になり病気などに感染したときの抵抗力が強くなることから、女性は無意識的に自分とは遠い遺伝子情報を持つ男性を探すというわけです。もし匂いだけで男性を選ぶなら、の話ですが。
そんな事実があったとは・・・
ラサール石井さんが「お父さん、クサイ!というのは遺伝子情報が近いからなんですね」とおっしゃっていましたが、まったくその通りなのだそうです。
これを読んで、さっそく匂いを嗅いでみようと思われた男性の皆さま、残念でした。
この能力は女性にだけ与えられたものだそうです。
選ぶ権利は男性の側にはない・・・というわけですね(笑)。
泣きながら生きて [テレビ]
私は未だかつて、あんなにも切ない電車の扉が閉まる音を聞いたことがない。
異国の地で13年ぶりの再会を果たす一組の夫婦。
しかし、彼らに与えられた時間は72時間のみ。
束の間の彩りある時間が過ぎ去ったとき、彼にできることは妻を見送るためプラットフォームに立ち尽くすことだけだった。
5年前の夏、8年ぶりに再会した娘を見送ったときのように ―
『泣きながら生きて』(フジ)。
上海から日本へやってきた男性と離れて暮らす家族の日々を追ったドキュメンタリー。
(内容はこちら)
丁さんが娘さんに語った中に、こんな言葉がありました。
困難に負けないで。夢をあきらめないで ―
人は誰でも、歯を食いしばりながら、生きていくんだよ。
その言葉の通り、歯を食いしばって生きてきた丁さん。
皿洗い、建築現場、工場、清掃作業・・・来る日も来る日も働き、深夜に一人で食事をする日々。
お風呂はありません。台所の湯沸し器のお湯をビニールシートに注いでお風呂にするのです。
日本に来てから歯も抜けていきました。
彼を支え続けたもの ―
人はあんなにも強くなれるものなのですね。
冒頭で流れた<ホワット・ア・ワンダフル・ワールド>。
I see trees of green, red roses too,
I see them bloom for me and you,
And I think to myself what a wonderful world
あの続きには、こんな歌詞があるのです。
I hear babies cry,
I watch them grow
They'll learn much more than I'll ever know
And I think to myself what a wonderful world
彼らは私が知るよりも多くのことを学ぶだろう ―
次の世代に託す思い。
それは時代も国境も越えて、変わらないものなのでしょう。
この番組を見て、もうひと踏ん張りしてみようと思いました。
人生は ― 捨てたものじゃない と信じて。
6000人の大合唱 [テレビ]
永遠のライバル、早稲田と慶應。
日本を代表する二つの私立大学が今回の主役です。(『その時 歴史が動いた』 NHK)
今から 63年前の10月16日、最後の早慶戦があったことをご存知でしょうか?
今では、 プロ野球≧高校野球>大学野球 といった感じですが、当時の野球人気を支えていたのは大学野球でした。
しかし、戦況が悪化するにつれ、野球は敵国のスポーツとして禁止され、六大学リーグも解散させられてしまいます。
そして、昭和18年9月22日大学生の徴兵猶予が停止され、20歳以上の法文科系の学生たちも徴兵されることに。もちろん、早稲田・慶應の学生も例外ではありませんでした。
そんな状況の中、慶應の主将である一人の学生が立ち上がります。
「最後にもう一度、早慶戦がしたい」
白球に青春をかけた若者たちが死を覚悟したとき、抱いた思いは同じだったのでしょう。
この願いがみんなを突き動かしていきます。
そして、徴兵検査の9日前、学徒出陣前の最後の早慶戦が行われることになりました。
「出陣学徒壮行早慶戦」。
“野球道”の早稲田と“理論野球”の慶應。
当日、観客席に集まった学生は 6000人。
試合の結果は、早稲田 10 - 1 慶應 でしたが、彼らにとってもはや勝ち負けなど関係ないことだったのでしょう。
試合後は自分の大学の校歌や応援歌を歌うのが常ですが、その日は早稲田は慶應の応援歌を、慶應は早稲田の校歌を歌って互いの健闘を称えたそうです。
どんな思いで歌ったのでしょうか。
ゲストの関根潤三さんが「先輩の気持ちが綿々と受け継がれるもの」とおっしゃっていましたが、ハンカチ王子の汗も斉藤和巳投手の涙もあの時代から受け継がれてきたものだと思うと感慨深いものがありました。
銀杏の葉っぱが色づき始めた頃、神宮に足を運んでみようかな。
忘却の穴 [テレビ]
"ARBEIT MACHT FREI" (「労働は自由への道」)
古びた鉄門に掲げられている文字。
今回の『世界遺産』(TBS)は、人類史上最大の犯罪をしるす負の遺産 ― アウシュビッツ強制収容所です。
そこで効率良く生産されたのは、人間の死であったという恐怖の工場。
地下牢の壁には囚われた者が爪で刻み付けたというキリストの姿がありました。
最期の瞬間まで神を信じ続けた人たち・・・言葉を失います。
あるユダヤ人哲学者が、この絶滅収容所を“穴”と呼んだそうです。家族も親戚も皆殺しにすることで彼らが存在した一切のしるしを消し去る“忘却の穴”と ―
まぎれもなく、アウシュビッツ強制収容所もまた世界遺産といえるでしょう。
中村勘太郎さんの抑えたナレーションがとても効果的でした。
番組を見終わったとき、思い出した一冊の本があります。
『夜と霧』。
アウシュビッツから奇跡的に生還した心理学者の体験記録です。
「知ることは超えることである」
気力と体力があるときにどうぞ。