SSブログ

バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番第5楽章 [音楽]

私がその曲に出会ったのは音楽室でもレコード屋でもなく、小さな映画館でした。

映画のタイトルは 『無伴奏「シャコンヌ」』。

ヴァイオリニストのアルマンはソリストの代役として華々しいデビューを飾ったが、自らの芸術を追求するために表舞台から姿を消す。10年後復帰しようとしたものの、もはや音楽界にアルマンの居場所はなく、彼はメトロの地下道で自分の音楽を奏でるようになる ―

そんなストーリーのフランス映画です。

ラストの15分。

アルマンが地下水路を進む小舟に乗って≪シャコンヌ≫を弾き切るそのシーンは、まさにこの15分間のためにこの映画を撮ったのだと思わせるものでした。

暗闇の中、全身でバッハの音楽を感じたのを覚えています。


“シャコンヌ”という名の小宇宙。

そこに見えるのは絶望、希望、そしてそれを超えたもの ―

聴くたびに胸がしめつけられ、また同時に安らぎを覚えます。

映画で実際にヴァイオリンを弾いていたのはギドン・クレーメルでしたが、彼の厳しいヴァイオリンを聴くのはそれなりの心の準備が必要なので、今回はこちらの一枚を選んでみました。

バッハ:シャコンヌ

バッハ:シャコンヌ

  • アーティスト: ハーン(ヒラリー), バッハ
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
  • 発売日: 2004/11/17
  • メディア: CD


ヒラリー・ハーン
17歳のデビュー盤。

彼女の伸びやかで丁寧なヴァイオリンは、純粋にバッハが作り上げた音楽の素晴らしさを伝えてくれています。

ヴァイオリンの音色も明るく美しい。

「どれひとつとしてバッハでは誤魔化しがききません。逆に全部をうまくこなせれば、この上なくすばらしい音楽が歌い始めます。今度の録音に、そんなバッハの音楽に対する私の愛が少しでも多く表れていればうれしいと思います」(ヒラリー・ハーン)

そんなコメントどおり、彼女のバッハへ愛が感じられる一枚です。


「人生は困難の連続だけれど、とても豊かなはず」(ジャン・マルク=ルイサダ)

きっと、そうなんでしょうね。

映画もバッハの音楽もそう教えてくれています。

【秋はイロイロ見つめる気分度】 ★★★


nice!(1)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 1

コメント 4

e-g-g

ポッチさん こんばんは
『無伴奏「シャコンヌ」』を映画館ではなく、
テレビで観てしまったこと、
これ、ワタシのかなり大きな失敗のひとつです。
でも、そのあとスクリーンにかかる気配もないし、
仕方ないのでDVDでも探してみようかな、と
思っているところです。

とにかく、良い映画でした。
ラストの15分は、ほんとうに圧巻でしたね。
あそこはテレビで観て、いや聴いても鳥肌が立ちましたよ。
表現とか、人の作るものの凄さ強さとか、
そういったことをテーマにした映画、好きですね。
たとえば『バベットの晩餐会』、
これなども好きな映画です。(脱線)

きわめて真っ当にずっとクレーメルを聴いていました。
その後はしばらくシェリング、そしていまはシュミットです。
そこに、う〜ん、ヒラリー・ハーン。
そろそろ聴かねばならぬか?
これからは、どっちを向いても
ヒラリーさんの時代になりそうですしね。
 
by e-g-g (2007-11-05 00:56) 

ポッチ

e-g-g さん、こんにちは。
e-g-g さんもご覧になっていたんですね!
私はバッハについても人生についても何も知らずに背伸びして映画館に足を運んだため、映画の内容を十分に理解していたとは言えないのですが、ラストシーンの感動だけは今でも覚えています。
私ももう一度観てみたいところなんですが、DVDは出てないようです。

『バベットの晩餐会』、知りませんでした。amazonで検索してみたら、こちらもDVD出てないようで・・・残念!(それにしても¥4,8000って 笑)。でも、良さそうな映画ですね。文庫本なら、手が届きそうです。 

<ビギナーのための一枚>という、このブログの性格上(?)、ヒラリー・ハーンを選んでみました。
ハーン盤は17歳のシャコンヌ。クレーメルのように音の向こうに演奏者の人生を感じさせるようなヴァイオリンではなく、音楽が聴き手にも十分に向けられています。繰り返し聴くにはオススメです。
ヒラリー・ハーンが、やがてするであろう再録音が楽しみです。

>これからは、どっちを向いても
 ヒラリーさんの時代になりそうですしね。

フフフ・・・たしかに(笑)。座布団一枚用意しておきます♪

シェリングもシュミットも聴いてみたいなあ。まずは、手に入れやすそうなシェリング盤から聴いてみますかな。
by ポッチ (2007-11-05 15:42) 

e-g-g

ポッチさん
バベットの晩餐会が48000エンですか〜!!!
これも無伴奏「シャコンヌ」もDVDが出ていないのですか〜
ワタクシ、ビデオ時代もDVD時代も、
買うのも借りるのもほぼ経験ゼロです。
ですから、その気になってTSUTAYAあたりに行けば、
いつでもあるものと思ってました、、、
となるとベータテープに録画したものをいよいよ
ダビングしないといけませんね。
でもしかし、、、ベータの再生機が無い!
あぁぁぁぁ

『バベット』はポッチさん、絶対に気に入ると思いますよ。
お互い、テレビ放映と単館ロードショーを
目を皿のようにして注意していましょう。
ついこの間も、BSでエリック・ロメールの『グレースと侯爵』が放映されてましたから、
『シャコンヌ』や『バベット』がかかっても不思議ではない!←淡い期待
by e-g-g (2007-11-06 18:28) 

ポッチ

e-g-g さん、こんばんは。
ベータ!懐かしいですねー。再生機は秋葉原とか行かなきゃなさそうですね。そういえば、レーザー・ディスクなんていうのも・・・。みんな、どこ行ったのでしょう。
そう考えると、レコードは優秀だなあ。

『バベット』、あらすじだけ読んでも面白そうでした。皆さんも絶賛されていますね。観てみたいです。

単館ロードショー!魅力的ですね。「あの映画をもう一度」なんて感じで。
でも、そんなことがあったら、『シャコンヌ』を観に行って、「あ、あの人『バベット』でも見かけたぞ。さては・・・」って感じで私だってバレちゃいそう・・・って、お互いさまですかね(笑)。

エリック・ロメールの『グレースと侯爵』、また知らない作品ですが、どんな映像なのか興味あります。値段もいち、じゅう、ひゃく・・・大丈夫そうです(笑)。

とりあえず、私の方は夜が明けたら、目を皿にしておきます!
by ポッチ (2007-11-07 02:11) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

Blossom DearieSunday at the Villag.. ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。