生かされて。 [本]
イマキュレー・イリバギザさん。
心もからだも輝いて美しいという意味を持つその名のとおりに美しい一人の女性が今回の主人公です。(『CBSドキュメント』 TBS)
1994年に起きたルワンダの大量虐殺。
多数派民族であるフツ族が少数派民族のツチ族を大量虐殺したおぞましい事件。
100日間で100万人以上の命が犠牲になったとも言われています。
それまで良き隣人であり、友人であったはずの人たち。
そんな人たちがある日を境に鉈や槍を手にして殺戮を始めたのです。
それは、まさに“皆殺し”と呼ぶのに相応しいものでした。
最終的には国内にいたツチ族の4分の3が殺されたそうです。
殺戮とレイプという悪夢の嵐が吹き荒れ始めたころ、イマキュレーさんは知り合いのフツ族の牧師に匿われます。
そこは幅90cm、奥行き120cm ほどのベッドルームのトイレ。
整理箪笥の裏に隠された、身動きも出来ないそのスペースで6人の女性が91日間過ごしました(途中で2人が加わり、8人に)。
そんな地獄を生き抜いたイマキュレーさんが書いた本。
『生かされて。』です。(原題 『LEFT TO TELL』)
今まで遠くの国のニュースだった事実。
この本を読み、イマキュレーさんの体験をたどるとき、それが現実に起きた生々しい事実として感じることができるでしょう。
虐殺に怯える日々をどうやって彼女は乗り切ったのか ―
生き残ったとき、どうやって憎しみの連鎖から逃れ、もう一度生き直すことができたのか ―
運が良かったという言葉で片付けるには、あまりにも重い。
悲惨、残酷などという言葉では言い尽くせない内容で、映像を見なくて済むことに感謝したいほどですが、読み終えた後、生きる勇気をもらえたと感じることでしょう。
「きっといつか誰かがこれを読んで、何が起こったのかを知るわ。あなたは、私と同じようにそれを伝えるために生かされたのよ」
まずは、知ることから始めてみてください。
遅すぎるということは、決してないのですから。
(ルワンダで起こったようなことが、今、スーダンのダルフールで起きているそうです。世界はこの現実に対して、どのような答えを用意するのか。早い解決を祈るばかりです)
目前の仕事やなにやかやに追われ、世界の現実をどう捉えれば良いのかを考えることすら矮小化してしまう毎日。知らないことの幸福と無責任さに安住する日々。
知ったからといって何かができるわけでもなく、でも、知ってしまったことを無かったことには出来ない。今日も、もうすぐ終わりですが、少し心の奥に静かに鎮めて、じっと思ってみます。
by e-g-g (2007-03-14 23:41)
eguchi さん、こんばんは。
素敵なコメントありがとうございます。eguchi さんに少しでも伝えることができたようで嬉しく思います。
理想を語るのはた易いことだけど、みんな目の前の現実で精一杯。私なんて、まだ自分のことでさえ何も成し遂げていないのに、世界の平和を語るのはおこがましいですが、それでも知ってしまった以上、何かをせずにはいられない・・・
というわけで、誰かに伝えることが今の私にできることです。誰かに伝えることができれば、その人がまた誰かに・・・そうやって広がっていけば、今起きている悲劇を止めることはできなくても、将来の悲劇を防げることができるかもしれない。「知ることは超えること」という言葉を信じて ―
ジョン・レノンもコルトレーンも音楽で世界を平和にすることはできなかったなんて言われるけど、勝負はまだついてない。永遠の生命を持つ彼らの音楽が生き続ける限り、きっといつの日か・・・なんて、ユートピア思想の持ち主の私です(笑)。そして、明日になれば、世界の平和より昼ごはんの心配をしていることでしょう(笑)。
長いコメント読んでくださって、ありがとうございました。
by ポッチ (2007-03-15 02:34)