いちご同盟 [本]
「よく見て、憶えていて。・・・あなたに見てほしかったの」
三田誠広さんの『いちご同盟』です。
生きることに前向きになれない中学三年生の良一。ある日、良一は野球部のエース・徹也に試合中の徹也の姿を撮影するよう頼まれる。言われたとおりに撮影した良一はビデオテープを持って待ち合わせの場所へ。そこは大きな病院だった ―
このブログに寄り道してくれた中学生・高校生に(もちろん、「元」でもOKです)春休みに読んでもらえたら、と思って取り上げてみました。
生きるということ、命の重み・・・それぞれこの小説の重要なテーマなのですが、淡くはかない恋の物語として心に残りました。
大人になると失われてしまう何か ―
そんなものがあるのかもしれませんね。
さて、物語の中で、いくつか登場するクラシックの名曲。
その中でも特に印象に残るのが<亡き王女のためのパヴァーヌ>です。
遠い日を思うかのような哀愁を帯びた旋律が印象的な一曲です。
モニク・アースのピアノは奇を衒うといったことはありません。
美しい音で、素直に丁寧にラヴェルの世界を描いています。
曲が終わった後の静けさまで楽しみたいですね。
物語の世界を思い浮かべながら聴けば、感動がまたひとつ増えますよ。
コメント 0